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明日、お連れ合いが息子さんと買い物に出掛けると聞いたとき、間髪いれず釣行を持ち出したという。
お連れ合いが、出発時刻を聞き返してきたというから、そのときの気持ちは、もう推して知るべきだろう。
まさに、事前の準備があったればこその好機だろう
。針山に耐えて既成事実を作ってきたことが、実を結んだと言えるかもしれない。
翌日は秋晴れの空の下、前週と同じく聖橋を渡って坂を下り、皇居を右手に芝浦ふ頭を目指したという。
大きな貨物船がゆっくりと旋回していくのを眺めながら針を垂らしていたそうだ。
ちょうど前週に、つり上げた魚を取り外していたお母さんと目の合った辺りだという。
左隣ではハンチング帽の男が、擬似エサを使って、投げては巻いて、巻いては投げてを繰り返していたようだ。
小春日和に目を細めつつ、眼前の砲台跡を見ながら、まだ釣果もないのに、近いうちにまた来たいと思ったのだとか。
小さなアタリに竿を上げてみると、小指くらいのシマハゼ掛かっていたらしい。
結局その後は、一度だけアタリはあったものの、エサだけ取られて、正午に引き上げたという。